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検反で見つかる生地の不良、どんな欠点が多い?

衣服やインテリア用ファブリックなど、私たちが日常的に使う「生地」は、その品質が直接製品の価値に影響を与えます。検反は、織物や編物、染色などの過程を経た後の生地を、ロール状で展開しながらチェックする工程です。この段階で発見される不良が後の製品の品質に大きな影響を及ぼします。では、検反時に最もよく見つかる生地の欠点にはどのようなものがあるのでしょうか? 本記事では、よく見られる不良を種類別に紹介し、それぞれの不良が製品に与える影響について詳しく解説します。

1. 色ムラ(染めムラ)

色ムラは、生地の染色時に均一に色が染まらなかった部分が生じる現象です。染色工程では、化学薬品や温度、時間などの調整が重要ですが、それらが不均一であると、部分的に濃い色や薄い色が現れます。この不良は、特に色が強調されるファッションアイテムや高級衣料にとって大きな問題です。

影響:

色ムラが発生すると、製品全体の美観が損なわれ、特にデザインがシンプルな場合は目立ちます。例えば、スーツやドレスなどで色ムラがあると、高級感が失われ、消費者の購入意欲を低下させる原因になります。

事例:

例えば、ある高級ブランドのコートにおいて、前身頃と後身頃で染色の濃淡に差が見られたケースがあります。この場合、製品全体に色ムラが目立ち、出荷前の検反で発覚し、すべてのコートが再染色を要することになりました。

2. 織りムラ(織り不良)

織りムラは、織物の工程で糸の絡み具合やテンションの不均一によって、織り目にムラが生じる現象です。織布中に異常な膨らみやたるみが現れることもあります。これにより、布地に目立つ不規則な模様ができてしまうのです。

影響:

織りムラは特に布の質感や見た目に大きく影響を与えます。例えば、ジャケットやシャツなどの表面が均一でない場合、製品が安っぽく見えることがあります。さらに、織りムラが強調されると、生地に触れたときの肌触りが悪くなり、使用感に影響を及ぼすこともあります。

事例:

あるシャツメーカーで、製造したロットの中で織りムラが多く見つかりました。特に衿部分に目立つムラがあり、最終検反で発見された後、ロット全体を再製作することになりました。このような不良は、ブランドの信頼性に大きな影響を与えるため、早期の発見が重要です。

3. 汚れ・異物混入

生地に付着した**汚れや異物(ホコリ、糸くず、油分など)**は、検反で頻繁に発見される欠陥の一つです。特に、染色や仕上げ工程中に適切に清掃が行われていないと、これらの汚れが生地に付着してしまいます。

影響:

汚れや異物は、製品の外観や質感に直結する問題です。特に白や淡い色の生地では汚れが目立ちやすく、洗濯後にも落ちないことがあります。また、異物が取り除かれないまま製品化されると、消費者の不満を招き、クレームに繋がる可能性があります。

事例:

あるカーテンメーカーでは、仕上げ工程後に糸くずが生地に混入していることが多発しました。最終検反で発見され、汚れが目立つ部分には「修正シール」を貼ることで一部修正されましたが、いくつかのロットは最終的に再処理が必要になりました。

4. 糸抜け・糸ほつれ

糸抜けや糸ほつれは、織布や編み物の製造過程で、糸が抜けたり、布地の端がほつれたりする現象です。糸が抜けると、布地の強度や耐久性が低下し、特に縫製後の製品においてほつれが目立つことがあります。

影響:

糸が抜けると、生地の形が崩れたり、使用中にほつれが広がることがあります。衣類では縫製部分がほつれると、消費者が簡単に修理できるレベルではなくなり、製品価値が下がるだけでなく、返品やクレームが発生する可能性もあります。

事例:

あるパンツの製造過程で、縫い目付近に糸が抜けていたことが検反で発見されました。これにより、すべてのパンツの縫い目を再検査し、再縫製が必要になりました。特にデザインがシンプルな商品では、少しのほつれでも大きな影響を与えるため、注意が必要です。

5. 生地の厚さムラ

生地の厚さムラは、織りや編みの段階で、部分的に生地の厚さに差が生じる現象です。このムラが発生すると、生地の全体的な質感や耐久性に影響を与えることがあります。

影響:

厚さムラがあると、特に衣類の着心地に悪影響を与えます。例えば、ジャケットやコートでは、特定の部位が非常に厚くなってしまうと、製品が歪んで見えることがあります。また、特に高級品では品質が疑われ、ブランドの信頼性にも関わるため、早期の発見が求められます。

事例:

高級スーツの生地で、特に肩部分に厚さムラが発生していた事例があります。この場合、着用時に肩の部分が不自然に硬くなるため、最終的に再処理を行い、ムラを修正しました。

まとめ

検反は、生地の品質を保証するための重要な工程です。検反で見つかる生地の不良には、色ムラや織りムラ、汚れ、糸抜け、厚さムラなどさまざまな種類があります。これらの不良は製品の外観や品質に直結し、最終的には消費者の満足度やブランドの信頼性に大きな影響を与えます。したがって、検反は単なるチェック作業ではなく、品質保証のための重要なプロセスです。検反を効率よく行い、早期に不良を発見することが、最終的に高品質な製品を市場に届けるための鍵となります。

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